チャールズ・ブルツガ
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2010年 夏

発明活動を時系列で記録する手段として、ノートがよく使われます。この場合、ページに番号がついていて、ページごとに簡単に取り外しできないように固定したものを使うことが必要です。このようなノートを使用することで発明活動の記録の「不変性」を証明することができます。「不変性」を証明することはとても重要です。なぜなら、コンピューターやルーズリーフなどに入力する日付は後から簡単に変更することが可能であるからです。以下に説明しますガイドラインに沿ってノートを使用すれば信憑性の高い不変的な発明活動の記録を作成することができます。

アメリカで特許出願をする予定がある場合、アメリカは先発明主義を採用している関係から、発明活動を正しく記録し、信憑性の高い記録を残すことが大変重要です。特に競争が激しい市場では、発明の着想日と完成日を明確にするなどして、発明内容を記録し、後にそれを証明できるようにしておくことが大変重要です。

アメリカ特許商標局は、以下a)と b)を判断するのに非常に厳しい基準を設けています。

a) 誰に特許を付与すべきか

b) 先行技術や公知文献に照らして、出願発明に特許を付与すべきか

以上はNAFTA やWTOに加盟しているカナダ、中国、フランス、ドイツ、ギリシャ、インド、日本、メキシコ、韓国およびイギリスにおいても同様のことがいえます。

発明の完成日を証明するには、アメリカ特許局は、発明の着想日を示す証拠とともに、その発明が完成に至るまでに経たステップを示す証拠を要求しています。

特許を受けようとしている発明について行った“発明活動”を、発明の着想のみならず実験的試験を含めた発明の実用化のためにとったステップを正しく記録することが大変重要であるといえます。

以下(Ⅰ)から(Ⅲ)は発明活動の記録方法についてのガイドラインです。

(Ⅰ)時間の先後の整合性を保つこと

発明活動を記録するに当たり、時間の先後の整合性を保つには次の点に留意する必要があります。

  • 空白を残さず起こった順に厳密に記録すること

発明活動を起こった順に時系列に厳密に記録することは、記録された内容の信憑性を高めます。ノートには空白を作らないように配慮してください。空白ができる場合には、線を引き名前のイニシャルと日付を記入しましょう。一般的に最初の数ページは“目次”もしくは予備のページとして白紙のままとっておきます。
発明が完成し、ノートの記載が完了した後に“目次”を作ります。最初の数ページを白紙のままにしておく意図を明らかにするため、「目次」という表記を最初のページの冒頭に示しておく必要があります。

  • 記録方法

最初のページの上部に年月日を書き込みます。その次の行から発明活動の記録をつづりましょう。それぞれの言語の表記の仕方に則って、左から右へ(言語によっては右から左へ)記録します。記録ごとに記録日を書き込むことを忘れずに、ノートの最後まで同様の書式で書き込みます。

最も重要なことはノートに記録したものを消したり取り除いたりしないことです。変更が必要な場合には、変更したい記載に線を引き、名前のイニシャルを添えます。それから、訂正した記載のすぐ後か、次の余白に正しい記載をします。

  • 裏づけ

ここでいう「裏づけ」とは、発明活動を記録する際に、共同発明者でない第三者(家族や親族でないことが望ましい)に立会人になってもらうことをいいます。立会人を加えることで、ノートの記録内容、記録日についての信憑性を高めることができます。ですので、立会人は、当該発明の記録内容を理解できるだけの技術的知識を持っている必要があります。

さらに発明活動の記録が適正に行われたことを証明するために、少なくても2人の立会人が記録を読み、ノートに“記録を読んだ上、理解しました(立会人の名前)”という記載をし、同時に、立会人が署名と立会日をつけることを強くお勧めします。
また、立会人が実験や実験のデータ記載に立ち会った場合は“記載通り(実験に)立会い、データ記載内容を理解しました”と記載してもらいましょう。

(Ⅱ)ノートへの追加記載をする場合

  • 発明活動に関する資料などのサイズが大きすぎてノートへ記録できないときは別の場所に記録することが出来ます。しかしその場合は資料と資料が記録された場所を発明ノートへ記録しなければなりません。
  • 発明ノートに記録することのできる資料は、貼り付けもしくはその他の方法でノートに添付してください。その際、添付が一時的なものでなく永久的に保存することのできる状態であることを確認してください。ノートに添付される資料には、印刷されたページや実験装置のハードコピー、日付のついたレシート、写真、CAD図面などが含まれます。添付資料を添付した日付を添え、それぞれの添付には立会人のサインをもらいましょう。写真はどの部分を写しているか分かりやすくするために矢印などを使用し番号をつけましょう。このような番号を全ての製図やグラフ、計算表などに使用するのがよいでしょう。

(Ⅲ) 発明ノートへ記録するのが望ましいトピック

  • 発明の元となるアイデアや情報(例えばスケッチやアイデアの解説、動機)、先行技術の調査結果などを記録します。それぞれの内容が個別に分かるようにするために表題を使用します。上記の通り、記録の日付と立会人の署名を入れます。このように表題、グラフ、図面、番号付けを矛盾なく使用することは、発明活動記録ノートの信憑性を高めることになります。詳しく隅々まで発明活動内容を記入する必要はなく、その発明分野についての当業者がノートへの記録内容を見て発明を再現できる程度に要約して記入しても構いません。
  • 全ての実験内容、観察及び実験結果の詳細を記載するのが望ましいです。
  • 発明の実用化に関わる情報は全て記録するようにしましょう。実用化するにあたり必要な部品や必需品を注文した際のEメールのコピーなどをノートへ加えておきましょう。一般的に“よりたくさんの情報が記録されている方がベター”とされています。
  • 発明を一般に公開した記録(見込み顧客との話し合い、販売の申し込み及び受注などを含みます)は、特許を取る上で大変重要です。

    こういった記録は特許専門弁護士へ必ず伝えてください。以上のガイドラインは信用性の高い発明記録ノートを作り上げるのに有益です。
    また、何らかの理由で後に裁判となった場合においても証拠として役立つことでしょう。