By , Date: 10月 30, 2015 in 文献, 発明特許・意匠特許法・文献 メールで記事を送信 メールで記事を送信 | 記事を印刷 記事を印刷 |

アメリカ特許庁と、日本特許庁、韓国特許庁とのそれぞれの特許審査の協働調査試行プログラムにより早期かつ同時期の特許権の取得が可能となります


アメリカで特許を取得したクレームが、日本や韓国で新たに挙げられた先行技術文献により拒絶されるという経験をしたことはありませんか。アメリカ特許庁は、日本特許庁と韓国特許庁との間で、それぞれ特許審査の協働調査試行プログラムを開始します。これにより、早期で同時期の特許権の取得が可能となります。

日本とのプログラムと韓国とのプログラムは違いがありますので、それぞれのプログラムについて説明します。

日本特許庁との協働調査プログラムによると、日本とアメリカの審査官がその調査結果及び特許性に関する見解を共有し、2つの調査結果を組み込んだ審査結果を送付します[1]。出願を先に受けた特許庁が「最初に調査を実施する庁」となります[2]。例えば、米国特許庁が「最初に調査を実施する庁」となる場合、米国特許庁が、出願人に最初の審査結果を送付します[3]。2つの庁が調査結果を共有することにより、審査官は最初に特許性について見解を示す前に、より包括的な先行技術文献を入手することができます。

韓国特許庁との協働調査プログラムによると、韓国審査官と米国審査官はそれぞれ先行技術調査を行い、両方の審査結果を出願人に送付します[4]。日本とのプログラムとは異なり、韓国審査官と米国審査官は独立して特許性に関する審査を行います。他庁の審査結果は必ずしも考慮されません。ただ、出願人としては、韓国特許庁から審査結果を受領することにより、米国特許庁に対して、韓国特許庁が挙げてきた先行技術文献を情報開示するなど、米国特許庁での手続きを進めることができます。

日本特許庁または韓国特許庁との協働調査プログラムを利用するには下記の要件を満たすことが必要です。

(1)プログラムの利用を希望する前にはいずれの特許庁でも審査が開始されていない。

(2)最先の出願日が2013年3月16日以降であり、米国特許庁111(a)に基づく出願(仮出願ではない本出願)またはPCT出願に基づく米国国内出願であること。

(3)米国出願と対応出願が共通して2013年3月16日以降の最優先日を有すること。

(4)クレーム対応表を提出すること、この表には米国出願の独立クレームが対応出願のどのクレームに実質的に対応しているか示す必要があります。

(5)独立クレームの数が3を超えず、クレームの総数が20を超えないこと。いずれのクレームも同じ発明に関連していること。

(6)出願人は、米国特許法122条に基づき、米国特許庁と日本特許庁または韓国特許庁が情報を共有することに同意すること[5]

上記の協働調査試行プログラムに加えて、米国特許庁が「先に調査を実施する庁」に該当する場合、「ファーストアクションインタビュー試行プログラム」も利用することができます。このプログラムによると、出願人は、審査官が行った先行技術調査の結果(「インタビュー前の通知」)を米国特許庁から受け取ることができます。出願人は、オフィスアクションが発せられる前に、審査官とインタビューすることができます。出願人は、インタビュー前の通知に対して応答しなければなりませんが、その際、次の3つの方針のうち一つを選択することができます。

(1)審査官とのインタビューをリクエストしない。

(2)インタビュー前の通知に対して応答する。

(3)審査官とのインタビューをリクエストする[6]

最後に、日本または韓国との協働調査試行プログラムの利用を希望される場合、米国特許庁はそれぞれ200出願のみ、日本、韓国特許庁もそれぞれ200出願しか受け付けませんので、すぐに出願されることをお勧めします[7]

日本または韓国との協働調査試行プログラムを利用することにより、特許性の高いクレームを得ることができるというメリットがあります。例えば、伝統的には、米国で登録査定がでたクレームが日本や韓国で拒絶されるというケースがありました。この場合、出願人は、米国で特許の再交付請求を行い、クレームの範囲を限定するよう補正する必要がありました。協働調査試行プログラムを利用することによりこのような必要がなくなります。また、競合他社が、米国改正特許法のもと審判部(Patent Trial and Appellate Board)や連邦地方裁判所にて、特許の有効性について異議を申し立てる機会が減ります。

注記 この記事は、協働調査試行プログラムについて一般的な説明をしているものであって、具体的な個別事件について法的見解を示すものではありません。また、この記事は米国特許庁の発表する見解に基づくものであることをお断りいたします。

 



[1] Collaborative Search Pilot Program, United States Patent and Trademark Office, http://www.uspto.gov/patents-getting-started/international-protection/collaborative-search-pilot-program-csp (last visited October 16, 2015).

[2] United States Patent and Trademark Office and Japan Patent Office Collaborative Search Pilot Program, 80 Fed. Reg. 39752, 39756 (July 10, 2015).

[3] Id. at 39753.

[4] United States Patent and Trademark Office and Korean Intellectual Property Office Collaborative Search Pilot Program, 80 Fed. Reg. 39412 (July 9, 2015); Collaborative Search Pilot Program, supra note 1.

[5] United States Patent and Trademark Office and Japan Patent Office Collaborative Search Pilot Program, 80 Fed. Reg. at 39754; United States Patent and Trademark Office and Korean Intellectual Property Office Collaborative Search Pilot Program, 80 Fed. Reg. at 39413–14.

[6]   United States Patent and Trademark Office and Japan Patent Office Collaborative Search Pilot Program, 80 Fed. Reg. at 39757–58; United States Patent and Trademark Office and Korean Intellectual Property Office Collaborative Search Pilot Program, 80 Fed. Reg. at 39415–16.

[7] Collaborative Search Pilot Program, supra note 1.